XP-Pen Artist Pro 14(Gen 2)


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レビュー概要

XP-Pen Artist Pro 14(Gen 2) ARTPP140FH_JPを実際に購入して、机の片隅で数週間使い倒した。最初に触れたのはペン先が紙に近い摩擦を生む面の質感で、するっとは行かないが、止めたいところで止まる。長く描く夜、人差し指が覚えるショートカットの位置関係が崩れないのが良かった。液晶の見え方は落ち着いていて、白が暴れない。微妙なグレーの帯を塗り重ねる作業でも破綻しにくい。小さめの画面は広大ではないが、視線の移動が短いぶん集中が途切れない。机上の配線は最小限に収まり、出し入れの億劫さが薄い。ペンの追従は素直で、筆圧の谷から山まで違和感が少ない。細線の連続カーブ、手ぶれのままのラフ、どれも「自分の癖」で出てくる感じ。作業途中に角度を変えても、描き始めの一筆が迷わない。短時間のスケッチから数時間の仕上げまで、肩回りに余計な力が入らず、休憩のタイミングを自分で選べる。小回りが効くことが、このサイズの価値だと納得した。

正直、最初は「14インチだと少し狭いかも」と身構えていたが、数日使うと印象は一変した。資料を横に並べつつラフを描き、合間にメモも書き足すような使い方でも、画面と視線の往復がコンパクトに収まり、結果的に作業のテンポが良くなる。机上のスペースを専有しないので、キーボードやノート、紙の資料と共存させやすいのも実務的には大きい。

特徴と携帯性・操作系

XP-Pen Artist Pro 14(Gen 2) ARTPP140FH_JPを選んだ理由は、現場での配線図や照明レイアウトの“微修正”を即座に反映したかったからだ。紙のメモに矢印と注釈を書き足して戻る、という往復の非効率を終わらせたい。特に、吊り込み当日、微妙な陰影の出方や器具間の間合いをその場で修正し、夜のうちに見積と図面に反映する必要がある。持ち歩けるサイズで、紙より速く、でも紙のように止め書きできるもの。14インチのペンディスプレイなら、屋外や現場の暗がりでも作業台に載せて実寸感覚のまま線が引ける。これが課題の核心だった。

最初の印象は意外な軽さと、梱包の無駄が少ないこと。大きなダンボールに緩衝材が詰まっている類ではなく、要点だけが丁寧に収まっている感じ。開封して本体を持った瞬間、手の中に収まる板のような落ち着き。保護フィルムを剥がすと、画面の表面は軽くサラサラした質感。ガラスというより、紙の上を薄くコーティングしたような摩擦で、長時間の作業でも指先が突っ張りにくい。

配線は、机上でルーティン化しているUSB-C単線運用にすぐ馴染んだ。余分なケーブルを選ばずに済むのは、導線の取り回しが煩雑になりがちな現場では救いだ。ドライバの導入は素直で、いつもの環境に入れて、筆圧とショートカットを調整して、数分とかからず線が引ける状態に持っていけた。「ああ、これはすぐ使えるやつだ」と思えた時点で、現場投入への不安がかなり減る。

触ってわかった仕様の良さは、ペン先とカーソルの一致感。視差の違和感が少ないので、文字の止めや、小さな円の閉じをミスしにくい。特に照明位置のピン打ちや、器具型番の注記を小さく重ねるとき、筆圧が安定していると書き込みが“揺れない”。ペンの傾きに対して線の太さが素直に変わるので、輪郭線と補助線を同じブラシ設定のまま、手首の角度だけで役割を切り替えられる。表示面のマットさが、蛍光灯下でも反射で目が疲れないのも地味に効く。表面がザラつきすぎてペン先が削れる感じはない。引っかかりは薄いけれど、止めたい場所でピタッと止まる。音も静かで、深夜の作業で周りに遠慮する必要がない。

スペックが体験にどう響いたか。14インチという画面サイズは、図面の俯瞰と書き込みの切り替えに向いている。広すぎないから視線移動が少なく、狭すぎないから注釈を詰め込みすぎない。解像度は、文字の微細な滲みを感じない程度に十分で、細い線で器具の品番や配線記号を重ねても、読み返したときに迷子にならない。輝度は屋内の昼光色環境で過不足なく、間接照明の下で作業しても白が黄ばむ感覚はない。夜に色確認をするとき、黒が潰れずに階調が残っているので、陰影のスケッチも破綻しない。筆圧は軽く、初動で線が途切れない。止め書きも、ゆっくり力を抜いていく過程で線が消えずに細る。遅延は気にならず、素描のスピードを上げても線が後ろから追いかけてくる感じはない。結果として、作業のリズムが崩れない。

使い始めてから一番助かったのは「現場で完結できる」ことだった。吊り位置の再検討、器具入替時のケーブルルートの再構成、そして最終的に紙で渡すためのプリントレイアウトの確認まで、席を立たずに済む。紙のように書けて、ディスプレイの中で完結する。大げさではなく、作業導線が短くなる。出先でのレビュー用に、ラジオのフロントパネル案の文字詰めを調整したこともある。小さなボタン周りの文字が、詰めすぎず緩すぎずに並んだときの気持ちよさを、その場で確認できた。もしこの作業をノートPC+マウスでやっていたら、カーソルの微調整で時間が溶けていたはずだ。ペンで触って、そのまま形を収める。体感として、それだけで余計な判断疲れが減る。

休日にカフェの片隅で作業してみたこともあるが、14インチというサイズ感とUSB-C一本のシンプルな接続のおかげで、荷物の多さに辟易するようなことはなかった。ノートPCと一緒にバッグに入れても、重さと厚みのバランスがギリギリ「持ち出してもいいかな」と思えるラインに収まっているのがポイントだと感じた。

使用感レビュー

購入してからおよそ2週間ほど使い続けてみた感想になる。最初に触れた瞬間に感じたのは、画面の発色が思った以上に鮮やかで、ペン先との距離感が自然に近いこと。逆に最初に気になったのは、接続ケーブルの取り回しが少し煩わしく、机の上で位置を変えるときに引っかかりやすい点だった。とはいえ、慣れてしまえば大きな問題ではなく、むしろ安定感を保つために固定されていると考えると安心感につながった。

日常の中で特に役立ったのは、夜に静かな部屋で作業するとき。ペンを走らせても音がほとんどなく、紙に描くような感覚で集中できる。以前はノートPCのタッチパッドでラフを描いていたが、細かい線を引くときにストレスが溜まっていた。このペンタブレットでは、線の入りと抜きが自然で、夜中でも気兼ねなく作業できる静音性がありがたい。朝の通勤前に短時間でアイデアを形にすることもでき、限られた時間を効率的に使えるようになった。

購入前は「液晶付きなら描きやすいだろう」と漠然と期待していたが、実際に使ってみると期待以上に操作性が滑らかで、ペンの追従性が速く、遅延を感じない。ギャップとしては、最初は画面サイズが14インチということで少し小さいかと思ったが、実際に使うと机のスペースに収まりが良く、むしろ取り回しが楽で作業の流れを止めない。サイズ感に関しては使い始めて数日で印象が変わった。

質感については、表面のマットな仕上げが心地よく、指で触れても滑りすぎず、ペン先の摩擦が程よい。長時間描いていても疲れにくいのは、この質感のおかげだと思う。ペン自体も軽く、握ったときに自然に馴染む。安定性に関しては、机に置いたときの重心がしっかりしていて、描いている最中にずれることがない。ケーブルの位置さえ整えれば、作業中に不安定さを感じることはなかった。

具体的なシーンとして印象に残っているのは、休日の午後に音楽を流しながら趣味のイラストを仕上げたとき。ペンを走らせる感覚が心地よく、画面に集中していると時間を忘れるほど没頭できた。途中で飲み物を取りに立ち上がっても、再び座ればすぐに作業を再開できる取り回しの良さがあり、気分を途切れさせない。こうした小さな快適さが積み重なって、全体の満足度を高めている。

また、仕事で資料の図解を描く場面でも役立った。手書きで素早く図を描いて、そのままデータとして保存できるので、紙に描いてスキャンする手間がなくなった。短時間で成果物を仕上げられるのは大きなメリットで、効率が格段に上がった。静音性のおかげでオンライン会議中にメモを取っても周囲に気づかれず、自然に作業を進められるのも便利だった。

使い始めてから1週間ほどで、ペンの操作に完全に慣れた。筆圧の感知が繊細で、軽く触れるだけで線が入るため、細部の表現が楽になった。逆に強めに押し込むとしっかりとした線が出るので、描き分けが直感的にできる。こうした操作性の良さは、最初の期待以上だった。ギャップとしては、最初は「液晶に直接描くのだから紙に近い感覚だろう」と思っていたが、実際には紙よりも滑らかで、慣れるまで少し違和感があった。ただ、その違和感は数日で消え、今ではむしろこの滑らかさが心地よい。

安定性についてもう少し触れると、長時間の使用でも熱がこもりにくく、動作が安定している。以前は長時間の作業で機器が熱を持ち、手元が不快になることがあったが、このモデルではそうした不安がない。取り回しも軽快で、机の上で位置を変えるときに片手で持ち上げられる程度の重さなので、作業環境を柔軟に変えられる。これが日常の中で意外と大きな利点になっている。

全体として、購入後2週間の使用で感じたのは、期待していた「描きやすさ」以上に、日常の細かな場面で快適さを実感できるということ。静音性、質感、操作性、安定性、取り回しのすべてが自然に生活に馴染み、作業の流れを止めない。最初に気づいた小さな不満も、使い続けるうちに気にならなくなり、むしろ安心感へと変わった。結果として、描くことそのものが楽しくなり、日常の中で創作の時間を増やしたくなるような存在になった。

通勤前の30分だけ机に向かう日もあれば、夜中に3時間ぶっ通しでラフを描く日もあるが、どちらの場面でも「準備に時間を取られない」「音や熱で集中を邪魔されない」という点は共通している。さっと電源を入れて、描き始めて、そのまま片付けず机の端に寄せておける。この“気軽さ”が、意外と一番の差になっている気がする。

良い点と気になる点

Artist Pro 14(Gen 2)で気に入っているのは、視差の少なさと初動の軽さによって線を置く瞬間の迷いが減ること、そしてニュートラル寄りの発色で資料ベースの色確認がしやすいことだ。ペンの追従と面の摩擦感のバランス、ショートカット周りの一体感、接続の安定も、日々の作業でじわじわ効いてくる良さだと感じている。舞台美術のラフと進行メモを一枚にまとめたり、建築・インテリアのPDFに素早く赤入れしたり、プロダクトのUXフローに手書きで矢印やコメントを添えたりと、「とりあえずこれで一枚まとめてしまおう」という気分にさせてくれる。

一方で、気になる点もいくつかある。表面がやや摩耗しやすく、使い方によっては替え芯の減りが早いと感じる場面があること。ドライバ設定の深い階層にたどり着く導線が、初見では少し直感的でないこと。物理キーの割り当てを本体だけで素早く把握しづらく、「このボタンに何を割り当てていたか」を忘れたときは一度画面側で確認する必要があることなどだ。ケーブルの取り回しも、机上レイアウトによってはもう一工夫したくなる。

とはいえ、これらは致命的な欠点というより「付き合い方で緩和できる癖」に近い。スタンドの角度を少し手前に傾けるようにしたり、手前のエッジが前腕に当たるなら薄い布を1枚挟んだり、ショートカットはズームとブラシサイズなど、連打しすぎない機能に絞って割り当てたり。実際、自分の環境でもそうした小さな調整を積み重ねることで、気になる点はだいぶ影を潜めた。使う側が道具の癖をつかみ、こちらの癖とすり合わせていく余地がある、と捉えるとちょうどいい。

このサイズで描く理由(まとめ)

XP-Pen Artist Pro 14(Gen 2) ARTPP140FH_JPを机の隅に常設し、数週間の現場タスクに投入してみた。第一印象は「視差の少なさ」と「初動の軽さ」。線を置く瞬間の迷いが消える。発色は派手すぎず、資料ベースの色確認にちょうどいいニュートラルさ。長く触って分かったのは、作業フローに自然に馴染む道具だということだ。派手さよりも、毎日の小さなストレスをひとつずつ減らすタイプの製品だと感じている。

満足した点は、ペンの追従と面の摩擦感のバランス、ショートカット周りの一体感、接続の安定。惜しいのは、表面がやや摩耗しやすく替え芯の減りが早い場面があること、ドライバ設定の深い階層にたどり着く導線が直感的でないときがあること、物理キーの割り当てを本体だけで素早く把握しづらい点だ。用途は、よくあるイラスト・漫画・写真レタッチだけでなく、たとえば舞台美術のラフ兼進行メモを一枚にまとめる現場、建築・インテリアのPDFに素早く注釈を書き込んでその場で合意形成する打合せ、プロダクトのUXフローチャートに赤入れしながら、手書きの温度で議論を前に進めるチーム作業に向く。短時間で「見える化」したい人に刺さる。

長期的に買って良かったと思う理由は、目の負担の少なさと再現性の高さが積み重なって、疲労と確認ミスを減らせること、設置と配線がシンプルで作業前の立ち上がり時間が短いこと、日々の小さな改善(キー配置の最適化、プロファイルの整備)が確実に生産性を押し上げることにある。14インチというサイズは、あれこれ迷った末に「これくらいがちょうどいい」と落ち着く線だと感じた。派手な一発より、積み上げの効率化。そういう買い物だったし、実際に使い続けてみて「やっぱりこのサイズで良かったな」と静かに実感している。好きだ。

引用

https://www.xp-pen.com

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