ASRock Pro PRO-650B 電源の現場録

目次

レビュー概要

ASRock Pro PRO-650Bを自分で購入し、約三週間以上ホームラボ・オーディオ編集用PC・小型サーバと複数環境で常時運用してきた体験をもとにまとめた。一言でいえば派手さは無いが「安定と静音と運用の平穏」をもたらすタイプ。650W級では標準的な定格だが、複数ストレージ+GPU負荷でも挙動は終始落ち着き、夜間の録音作業や仮想環境の複合運転でもノイズで気を削がれない。静かに、確かに、仕事を続けさせる感覚が残る。

特徴

安定した電圧供給と静音性を狙い導入したのが本モデル。以前使用していた電源では高負荷時にファン急回転や微細な電圧揺らぎがあり、レンダリングや録音環境で細かいノイズを拾うことも。それに対してASRock Pro PRO-650Bはスパイクに対してもファンが慌てず、回転音は「気配」に近いレベルにとどまった。

開封時の印象は派手さ控えめで質実剛健。ケーブル長に余裕があり配線が素直で、取り回し中にストレスを感じにくい。重量バランスや外装のマットな質感にも安っぽさは無い。コンデンサや内部構成の詳細な公称仕様こそ明示されていないが、体感上の供給安定と発熱の穏やかさが裏付けのように感じられた。

650WクラスでのGPU+CPU同時レンダリングも問題なく、ベンチ中の電圧降下による挙動の乱れは観測しなかった。深夜のバックアップ検証や録音セッション中も負荷変動に伴う不自然なファン音が出にくく、環境の静寂性を保てる点が大きい。

使用感レビュー

最初の三日間はケーブルがやや硬く、差し込みに指の力が必要で少し驚いた。ただ一度整えれば形状保持が効き、ケース内の空気の流れを妨げにくい。結果的には「配線が自立する」ことで内部の視界もクリアになり、作業机の照明下で迷いなく手を進められた。

静音性は特に印象的だった。深夜2時、録音ソフトとソフトシンセを複数インスタンス走らせてもファン音は耳を澄ませばわずかに感じる程度で、クリック音やキー入力のほうが大きい。以前の電源は動画書き出し時に急な唸りに移ることが多く、休憩を挟むたびに意識がリセットされてしまったが、本機に換装してからはその煩わしさが無くなった。

休日に録音素材を整理していた際、プラグイン多数+バックグラウンドで仮想環境立ち上げという負荷をかけても、波形編集中のドロップや再起動の兆候はゼロ。オンライン会議も長時間中断無く続行でき、UPS併用で瞬断を擬似的に発生させた際も復帰動作は落ち着いていた。裏方として「意識させない働き」を確かに感じた瞬間だった。

メリット・デメリット

項目 メリット デメリット
静音性 深夜作業でも気にならないレベルの低ノイズ 高負荷時の動作音増加については条件次第
安定性 GPU負荷+録音+バックアップでも挙動が乱れない 特定構成での長期耐久データは未検証
ケーブル 束ねやすくケース内が整理しやすい 硬めで初期の差し込みに力が必要
設置性 狭い筐体でも取り回し良好 大型ケースではケーブル長が場面によりギリギリ

総評

ASRock Pro PRO-650Bは「意識から消えるほど静かで、しかし確実に働く」という、電源に求められる理想像のひとつに近い。ケーブルの硬さや長さは設置環境により課題になりうるが、稼働後の安定供給とノイズ抑制は価格帯以上に安心をくれる。録音や映像編集など神経を使う用途や、夜間常時稼働の環境に特に向いていると感じる。華やかなRGBや過剰な装飾は無いが、その代わりに「忘れていられる平穏」という強みを持つ一台である。

引用

https://www.asrock.com/

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